<216>はじめに。 脊椎手術では膝胸(KC)位がよく使われる。 静脈還流と心拍出量に大きな変化を促すと考えられている。 しかし,これらの変化の大きさ,術中の血行動態や麻酔必要量に及ぼす影響については未解明である. 本研究の目的は、KCポジションで脊椎手術を受ける患者の心拍数の変化とプロポフォールの必要量を明らかにすることであった。
Methods: 待機的脊椎手術を予定していたASA 1-3の患者20名を本研究に組み入れた。 橈骨動脈カテーテルと食道ドップラープローブは麻酔導入後に適切に配置した。 麻酔はbispectral index(BIS)誘導、血漿ターゲット制御、プロポフォール-レミフェンタニル麻酔とした。 KCのポジショニング後、レミフェンタニルの目標濃度を仰臥位と同様に終始維持し、プロポフォールの目標濃度はBIS値を40から50の間に維持するように調整された。 麻酔導入15分後(仰臥位)とKC装着15分後に、心臓指数、脳卒中量、心拍数、潮解間隙水圧(ETCO(2))、平均動脈圧、気道ピーク圧、プラトー圧、BIS値、プロポフォールとレミフェンタニルの血中標的濃度を比較した。 データは、DeltaPPが13%以上の患者数で表されるDeltaPPを除き、平均値+/-S.D.で表される。
結果 心拍数,脳卒中量,平均動脈圧,プロポフォール標的濃度は,仰臥位からKC位まで2.6+/-0.03から1.7+/-0.03と有意に減少した.04 l/min/m(2), p<0.0001; 68+/-1.2 to 45+/-1 ml, p<0.0001; 83+/-1.2 to 76+/-1.4 mmHg, p<0.0001 and 3+/-0.06 to 2+/-0.05 microg/ml, p<0.0001, それぞれ仰臥位からKC位へ有意に減少した. DeltaPPが13%以上の患者は仰臥位で0人、KC位で18人(90%)であった(p<0.0001)。
結論 BISガイド下麻酔時に手術患者をKC位にすることで,心拍数およびプロポフォールの必要量が顕著に減少した. これらの結果から、KC体位で脊椎手術を受ける患者には、食道ドップラーによる術中心拍数のモニタリングとBISによる麻酔深度のモニタリングが有用であることが示唆された。